人生という日常の合間に見つけた平凡な感動や、過ぎ去る時間のぼんやり思惑。 人生紀行

 
正月飾り
No.124 1月のユウウツ?(1) 2009. 1.23

 2009年
1/1 骨折で入院している祖母のお見舞いに行く。祖母は入院のせいで年が明けたのがまだよく解ってないようだったが、元気そうでよかった。病院から戻って早々にやってきた年賀状には、出産や新居など、めでたく幸せな報告の文字と写真が多く踊っていた。みんなそういう年頃だ。パートナーといっぱいXXXして子を産み、勤め先にいっぱい時間を捧げて給料をもらい、家や車、家具を買う。年賀状を眺めながら、差し出した人らの幸せなことを想像しては、つい今の自分と比較してしまい段々と気持ちが沈んでしまった。世間一般の物差しを前に、くだらなくも今年も悩んでしまいそうな、2009年の始まり。
 
1/2 鉋を研ぎ、液晶パネルの木枠(ケース)を作る。正月なので、さすがにあたりは静かだ。穏やかな陽を受けながら一人で木を削っていると、年が暮れたの明けたので騒いでいるのは人間だけで、自然の木々や動物には関係無いことがよくわかる。草木が風にそよぐ様子を見たり小鳥の鳴く声を遠くに聞いたりしてみれば、いつもどおりにただ地球が音も立てず回転するのを感ずる。
 
1/3 友人に頼まれて、荷物(材木)の運搬を手伝う。風が強い中、吹きさらしの壁の無い倉庫で、荷の埃を払い、汚れを拭き、重量物を上げ下げした。昼にご馳走になったラーメンと餃子。その店内には家族連れがとても多く、正月はどこもお店が繁盛しているようだ。不況で家や車、海外旅行など高額品・ローンの買い控えは続いているが、その分こういう所でお金は回ってるんだろう。いいことだ。
 
1/4 午前は前日の友人の家で作業。昨日運搬した材木の皮むきに力を貸す。電動カンナとチェーンソーで木屑にまみれた(+コーヒー1杯)。午後は小・中学校の同窓会へ。何年(20年)ぶりかに会うクラスメートと、当時の先生も何人か駆けつけてくれて盛大な会になった。あまり多くの人とは話せなかったが、生きてここに集えたことをみなが嬉しく思っていたんじゃないかな。誰かを笑う者も責める者もおらず、みんなが寛容で優しく感じたのは、ここに来れなかった人や、もう生きていない人のことを、共有していたからだと思う。歳を重ねて得たのは容姿の変化や境遇(結婚・出産)だけじゃないのだ。
 
1/5 午後起床。自分の木工制作の続きに取り掛かる。じきに日が暮れて作業はすぐ終えたが、設計した形がだんだんと現れてきたので素直に嬉しい。夜に鈍くなったノミの歯を研ぐついでに母の包丁も研いでおいた。明日の朝、包丁を使えばその滑るような切れ味に驚くだろう。世間では今日・明日で仕事始めだと聞くから、みんなまた忙しくなるのだなと、この日届いた年賀状を見ながら思った。
 
 西暦2009年の正月、新しい年の幕開けはそんな感じで過ぎていった。みなさん、あけましたがおめでたいことはありましたか?もう正月のことなど忘れましたか?(一応まだ「正月」ですが‥)
 
1月のユウウツ?(2)へつづく 
 

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