人生という日常の合間に見つけた平凡な感動や、過ぎ去る時間のぼんやり思惑。 人生紀行

 
リンゴの果実
No.123 誰がために実は染まる(4) 2008.12.22

 もし、宇宙の他の惑星に光合成を行う植物が進化したならば、その葉は鮮やかな赤やピンクの場合もある。そしてその星に地球と同じように動物が進化していたら、そこの植物たちは多くが青や緑、黒の実を実らせていることだろう。空には輝く青い太陽、広大な赤い大森林にピンクの大草原の世界のお話だ。
 
 小難しい進化の話を持ち出したが、まぁ要するに、地球のミカンが色づくのは、私のためなんです。
 
 ちなみに私はミカンという果実の味も好きだが、木にミカンが色づいて生っている様子を見るのも好きだ。赤いリンゴの実る木、サクランボの実る木、ああ、なんとその姿の魅惑的なことか!
 青い葉をつけた樹に鮮やかなコントラストで黄橙色のミカンや、その他赤い果物が実っている様子を見ると、無意識に瞳孔が開く感じがして、胸が高鳴るような嬉しい気分になる。私の遺伝子に組み込まれた動物的本能が、色鮮やかな果実に心をときめかすのだ(多分)。樹に生る色づいた果実のビジュアル(視覚映像)は、地球上の動物にとって遺伝的に組み込まれた欲望と快楽の対象なのだよ。
 
 〔あのアダムとエバだってそうだった!トマトだってイチゴだって、モモもパイナップルもレモンも、その果実の色を鮮やかに染めるのは、奴らめが私に食べて欲しい為なのです。この極早生ミカンもそうです。おお、その避けられぬ誘惑に落ちることを神様は責めるのでしょうか?〕
 
 でも、そうだ、植物たちの本当の願いは動物に種蒔きを手助けしてもらうことで、果肉を食べてもらうのは二の次だ。きっと頭の悪かったアダムとエバはエデンの園にある“善悪の知識の木の果実”を食べるにあたって種も噛み砕いて平らげてしまい、植物に込めた(神の)意志がないがしろにされたんで、それを知った神様は失望してしまったんだよ。
 「アダムとエバめなんて馬鹿なんだ。種まで食べおって。しかも“蛇にそそのかされた”とかウソの言い訳まで持ち出すとは‥奴らはとんだ失敗作だったわ。エデンの園、追放!」ってね。人間はそのアダムとエバの子孫だからきっと(遺伝で)頭悪くて欲深いんだな。しかも嘘つき。
(´・ω・`)チャンチャン♪
 神と自然界の意思に背かないようにするなら、果実を食べて種が出てきたら土の上に吐き捨てるか、後で野に排泄しよう。だからと言って神や自然(宇宙)を名目にむやみに人間社会を乱すことは犯罪者とみなされることもよく覚えておこう。(種を蒔くなら行儀良く)
 
 さて、スーパーの店頭に色づいたミカンを並べてくれたのも私のため。そのお持ち帰りは、お金と交換で。
 
誰がために実は染まる おしまい 
 

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