人生という日常の合間に見つけた平凡な感動や、過ぎ去る時間のぼんやり思惑。 人生紀行

 
キセキレイ
No.97 バードカービングに恋して(1) 2007. 3.11

 NHK教育番組でバードカービング講座が放送されているのを知って見てみた。まぁ、放送数回目にして初めての視聴だが‥。
 以前、子供向けに開催された、ある物作り講座でバードカービングの講師助手を務めたことがあったから番組が気になっていたのだ。
 私が参加した講座は講師2人体勢で、私は一応「助手」ということでメイン講師に誘われたが実務的にはメイン講師と同等に進行もこなす一人であった。バードカービング講師といっても小学生向けで限られた予算内での内容だから、鳥の彫刻を通じて基本的な刃物の扱いを習得する‥という内容に近いものだったと、今になって思う。
 講座に集まった今日の小学生にとって木で立体物を彫り上げることはおろか、小刀や彫刻刀を握るのも初めての経験になる子がほとんどなのだからそれは仕方ない。
 
 テレビ番組では「本格的なバードカービング」と言われるような現代の利器、焼きゴテやグラインダー、ガラスの目玉なんかを番組後半で使用するようだ。たまたま私が見た回では小刀と彫刻刀で形を彫っていたので、ちょうど私が子どもにやらせたような内容であり、それを見て〔自分の教え方は少し下手だったなぁ‥〕と思った。
 実のところ講師助手までしておきながら私のバードカービング経験は少ない。講座助手を始めるにあたって勉強し、開講までに2・3体彫っただけなのだから「にわかの雇われ助手」と言われても仕方ないのだ。しかし、“木を彫る”ということに対して道具や材料に関する知識・経験は子どもに教える程度はあったし、大体の小学生がもつ加工知識や能力、怪我などの注意すべきポイントもわかっていたので大きな問題は無かった。
 しかし、教える側の経験数の少なさは効率的・効果的な教え方(指導)に直結するので、子どもたちが完成させられる「作品の質」に影響するのは事実。自分が至らなかった部分をテレビの先生のやり方に発見して“今頃”ながら反省しているところだ。
 教師や指導者はそれを学ぶ生徒一人一人のレベルに合った内容から必要な部分を抽出し、それらをわかりやすく再編集して提示することが大事なのだろう。世にいる多くの先生達ときたら、毎日こんな工夫してるわけで‥、頭が下がります。
 
バードカービングに恋して(2)へつづく 
 

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