人生という日常の合間に見つけた平凡な感動や、過ぎ去る時間のぼんやり思惑。 人生紀行

 
青い矢車菊
No.104 Bloody birthday to me(1) 2007. 7.20

 ここ毎年、自分の誕生日が近づくとなんとなく居心地が悪い。
 “居心地が悪い”と言っても自分の暮らし自体に大きな変化はないのだが、くつろげない気分というか、どうも気持ちがざわざわして今の自分を勝手に駄目出ししたり、自分の将来を悲観する発想に頭を悩ましたりすることが多くなる‥いわゆる“アンニュイ”な気分になる。
 「誰かに誕生日を告げ、祝福される。」という一連の行為に含まれる人間関係のジレンマと、人生の進展を告げる時の音が、月初めから“ややこやしい気分”を引き連れて私に向かって迫ってくるという感じ‥と言えば、お分かり頂けるだろうか?
 実際には、特に何もなく一人で過ごす静かな一日になるのだが、それを過ぎるまではあれこれと自意識過剰になる月なのだ。
 「いかに平穏な精神状態で誕生日が過ぎ去るのを待つか」が私にとって命題のこの誕生月、今年は一つ考えていたことがあった。
 
 誕生日に献血へ
 
 みんなへの誕生日プレゼントって言うのかな?自分の誕生日に、困っている人へ贈り物(血)。個人的にまた1年長く生存できた喜ばしい日ですから、この喜びをおすそ分けしようと‥。
 まぁ、大した努力もなく自分だけお祝いされる誕生日者の身から気分的に抜け出そうと考えてみた。
 ざわつく気分の誕生日に血でも抜いてもらえば、少しは落ち着くだろうとも安易に思った。
 誕生日に行動予定がはっきりしているほうが余計なこと考えずに済むと冷静に分析してみた。
 〔なんか俺もいちいち理屈が要る男だよな‥〕(自分ツッコミ)
 
 つまらない御託を並べてないで、献血くらい軽く済ませりゃいいんだけど、実のところ献血は高校生のとき(17年前)に1回したきりで人生で2回目だ。しかも今回やろうと思っている成分献血は人生初のこと。1時間くらいかけて献血するという未知の体験ですから、
 〔なんか緊張する。少しは痛いんだよな‥〕(痛みだけをリアルに妄想)
 
 直接のきっかけは、「献血ルーム」という常設の献血施設を街中に偶然見かけて「最近人の役に立ってないし、献血でもしてみようかな?」と思い立ったことで、それを実行する日を近づく誕生日に設定しただけのことだ。
 そこの献血ルームの話は前から聞いたことがあって、時間のかかる成分献血の際にはベッドに横になって色々ある映画DVDを一人一人のモニタで再生しながら採血してもらえ、なんでも採血後はジュース・お菓子が無料で頂けるということで、「結構悪くない場所」らしいのだ。ちなみに他の国では献血するとビールやワインなんかも無料で頂けるところがある。
 〔なんか面白そう。コーラがあるといいな‥〕(コーラ好き)
 
Bloody birthday to me(2)へつづく 
 

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