No.137　一年一度の思いを込めて（３） 2011. 6. 5 　〔これは総当り戦か？〕と、嫌な予感を抱きながら、ＨＤＤとメモリを手持ちの別製品と入れ替えチェック、各種信号コネクタの抜き差しチェック、電源ユニットの分解と目視チェック、‥と思いつく対処方法から試みるが‥治らない。 　やっぱり予期無く電源はぷっつりと切れてしまう。。 　 　PCの型番を元にインターネットで不具合情報を検索すると「電源異常」の報告が幾つか見つかるので、目視チェックで判別できない不具合（PG信号の不調や、コンデンサの容量抜け）が電源に潜んでいるとにらみ、仕方なく電源のみを新調（2100円：オークション）した。そして電源を交換してみたが‥治らない。 　〔電源だと思ったのに‥無駄買いした‥。〕ここまで来ると、もう私に残されたカード（手数）は少ない。次はマザーボード（内部基板）の目視チェックをし、その見た目に異常は無いのだが、マザーボードのコンデンサ新調（3300円）と交換に討って出た。それほど古いPCではないはずのコンデンサー容量抜けを疑った苦渋の選択と言っていい。もう完全に追い詰められている。 　そして外見には異常のないコンデンサ（電子部品）をハンダこてで新品と交換するが‥治らない。 　 　〔うー、もはや俺にはお手上げ‥〕試行錯誤の中で費用と時間を注ぎこんだ挙句この有様である。 　〔‥いや、まだだ！このPCを治さねばキオスク端末は完成しない。どこかの基板にハンダ付け不良の箇所があるかもしれない。〕八方塞がりな状況で、それでも怪しいマザーボードを丹念に見て回る。そして、MOSFETというトランジスタのヒートシンク（放熱板）を外したときに「ピン！」と来た。どうやら、このヒートシンクが部品（トランジスタ）に密着していなかった様なのだ。 　そのMOSFETというトランジスタは電源を制御することに使われているらしく、このPCの抱える問題症状と繋がる予感が頭の中に閃いた。そして適正にMOSFETヒートシンクを処理してみると‥治ったーーー！！！ 　〔やったーー！これでようやく前進できる。〕 　えー‥これまでの記述で何を言っているのか解らないかもしれないが、調子の悪かったPCを治そうと色々部品を交換してみたけど、それらに問題は無く、要するにＰＣ内部の製造不良（欠陥？）を見つけて直すことができた‥ってこと。 　何事も修理というのは詳細な原因特定までが一番の苦労だったりするんだよね。的確に原因特定ができれば修理≒対処は割と早かったりするもんだ。 　 ※同様の症状が出ている人の為に参考情報を記述しておきます。　クリックで展開↓↓ 　 ◆富士通 FMVLX50J/LX70J　2004年9月発売　症状：電源を入れると普通に動作するが、しばらくすると勝手に電源が切れてしまう。突如コンセントを抜いた感じ。場合によっては数秒で切れるし、数十分間動作していることもある。 　■コンデンサ不良の場合：　まずこの頃の年代のＰＣや電子デバイスでは、当時世界中に出荷された不良電解コンデンサによって不具合が生じる、と言った症例が多いということ。メモリ・ＨＤＤなど基本的なパーツのエラーがなければ、コンデンサ不良が無いか確認する。ＰＣで電解コンデンサの不良が多く見つかる箇所は、電源ユニット内部やマザーボード基板上で、コンデンサの膨張・破裂・液漏れの有無を目視で確認し、異常があれば同じ容量のものを調達して交換する。 　■電源ユニットの不良の場合：　この機種には電源ユニットに問題がある症例も多い。電源内部の上記コンデンサ不良の他に、PG（PowerGood）信号異常、各部品劣化による電圧不足などで、これら電源不良をチェックする道具もある。しかし、電源ユニット内に異常があったとしても電源内部に手を入れることは大変危険で、下手をするとＰＣ全体を悪くしてしまうこともある。自信が無いときは電源ユニットごと新調交換が望ましい。 　■パワーMOSFETの放熱不良の場合：　今回私が発見した不良（欠陥）で、この事例は多いか少ないか不明。現在他の人の報告では見たこと無い。マザーボード上の電源ソケット近くにあるヒートシンクが問題の箇所。このヒートシンクは、その下にあるパワーMOSFET（トランジスタ）の放熱を担っているが、密着が悪いと異常発熱による保護回路が働くことで勝手に電源が遮断されると思われる。 　ヒートシンクを外して観たところ、メーカーの製造過程では、まず両面テープを使ってヒートシンクをMOSFETへと仮止め・密着し、その後、基板裏側からヒートシンクの足をハンダ付け固定している様です。 　対処方法は、まずヒートシンクの足を半田コテで外し、ヒートシンク裏側の両面テープを綺麗にはがす。アルコールなどで残った粘着物まで綺麗に取り除く。この段階でMOSFETとマザーボードの半田接合を確認し、半田が外れていたり不足しているようなら、半田を盛りなおす。　※パワーMOSFETは、マザーボード基板側にも熱を逃すように、部品全体が半田付けされている。そのため、接合部に熱応力がかかる部品なので放熱の半田付けがとれていることもある。 　MOSFETとマザーボードの接合に問題が見られなければ、シリコングリス（放熱グリス）をMOSFET上に塗って、ヒートシンクを完全密着させた状態で半田固定する。 　 　以上が参考情報です。パワーMOSFETの放熱板設置不良は、初めのうちや、涼しい気候下での動作は問題無く、使用時間の経過や温熱環境下になると突如発生し、熱が冷めると治ったりします。修理に出しても異常無しで返却される可能性もあります。かなり厄介な症状です。これは製造過程における欠陥と見ていいでしょう。 　 　※分解などするとメーカー保証・サポートは受けられなくなります。ＰＣの分解修理は推奨しません。必ず自己責任のもとで行ってください。上記情報を参考にしたいかなる損害も旅人彩図はちすかがその責任を負うことはありません。 　 一年一度の思いを込めて（４）へつづく