人生という日常の合間に見つけた平凡な感動や、過ぎ去る時間のぼんやり思惑。 人生紀行

 
試作イロイロ
No.132 春 イロイロ(7) 2010. 3.11

 小学校で使う“水彩絵の具”が「透明」ではない理由は“小学校現場では必要ない”という教育的判断にある。
 これらは全て、製造・販売メーカーが現場の声に合わせて絵の具を“最適化”してきた結果だったのだ。
 一見すると残念な最適化とも思えるが、高価な透明水彩が上位で、小学生の安価な絵の具が下位、と考えるのは早計で、それぞれの絵の具によって描ける=表現できるものが違うのだから、これは絵の具における“進化系統”の一つってことになる。
 今、図工の時間は少なく、これからも英語などの授業が増える替わりに図工の時間数が削られるかもしれないことを考えれば、その現場の声が反映されながら、学校用絵の具はこれからもより子供向け‥いや、学校授業用途向けに進化することになる。
 よって、学校授業に係わる者としては、その画材の変化に合わせた描画法をこれからも追及しなくては‥
 〔あーっ!そういうわけで、俺の時間がいつのまにか無くなってるわけか!〕 「春 イロイロ」とか題打ちつつ、夏を過ぎ冬を越え、もう一年が過ぎるとか‥、何やってんだ自分は。
 話しの冒頭で買った絵の具は1年間放置ということになった今年だったが、今の学校で使われてる絵の具のことを皮切りに、子供のこと、教育のこと、画材や道具のこと、それから人間について、また一つ理解できたような一年だったわけで‥、まぁ、良しとしよう。
 
 つい先日、受け持つクラスの今年度最後の授業を行い、評価提出などの残務を終えた。上手く行かなかった授業や、私に対して馴染めなかった子供のことなど、思い返せば反省点は多いが、大きな事故も無く多くの子が楽しく図工をやれたのは良かったと思う。
 週1回の図工授業で会う彼らのひたむきな作る眼差しと、くるくると変わる顔つきで私に応ずる様は、何度思い返してもいとおしく心染みる一時で、一人ささやかに一年をふり返りながら、幸せな気分に満たされて春眠に浸るこの頃。
 
 冬から春へ、世界があたり一面色に溢れるこの季節に、絵筆を手にイロトリドリに白いカンバスを染めあげたい気持ちがだんだん疼いてきます。
 
(※さんざん引っ張った絵の具の比較評論(レビュー)とかは、またの機会にできればいいな‥と。なんかグデグデな内容にすいません。)
 
春 イロイロ おしまい 
 

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