人生という日常の合間に見つけた平凡な感動や、過ぎ去る時間のぼんやり思惑。 人生紀行

 
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No.74 信用の価値は〜livedoor〜(2) 2006. 2.17

 2002年当初のライブドアはその接続料金や初期費用などを無料で提供し、堀江貴文氏もそこには居なかった。
 現在のライブドアとは経営そのものや目指していた方向が全く別だったと思うし、インターネットサービスの分野に詳しい人を除いて知名度は無かったようだ。
 
 自宅に戻りダイヤルアップ接続をライブドアで試してみたところ、わりと簡単にできたことを憶えている。初めて自分のパソコンでインターネットへ繋げれたことにとても興奮したし、面倒な契約や料金振り込み等がなくともどこでもすぐにネットに繋げることができるのは画期的だった。
 ちなみに旅人彩図の前身にあたる自分の作品展示サイトを初めて手がけたのもライブドアの無料ホームページサーバーにおいてであった。初めてのホームページ作りを遅いダイヤルアップ接続で行いながら何度もトライ&エラーを繰り返し、手探りで作り上げていったことは懐かしい。
 それから少しするとライブドアのサイトに「オンザエッジ」というロゴマークが出現するようになる。当時はまったく気に留めていなかったが、実はそのときライブドアは事実上倒産し、オンザエッジに経営譲渡したことを示していたのだった。オンザエッジこそが堀江社長率いる新興IT企業だ。
 やがてオンザエッジは社名をライブドアへと変更し、ライブドアのプロバイダサービスは変化の激しいIT業界そのままに2転3転するように変化していった。私の方も1年ぐらいでダイヤルアップからADSL(他社)に変えるのだが、その頃には接続サービス強化への注力を欠いていたL社は対象外になった。
 
 まぁ、そんなのがlivedoorと私の些細な関係だ。
 
 その後はみなさんの知る通り、ライブドアは企業買収を繰りかえした挙句、急速に膨らんだ風船が弾けるように大きく世間の信用を失墜することになった。ここで言う「世間の信用」は株価のことに他ならない。堀江氏逮捕によってライブドア株価は大きく下落しその信用≒価値を失ったことは記憶に新しい。会社の強制捜査前日からみると、1ヶ月間で10分の1程度にも価格を下げたのだから驚くばかりで「株とはそういうものか‥」と改めて思う。
 (株式市場を混乱させたライブドアと堀江さんではあるが、“株と企業買収に関する初心者講座”を茶の間に届けたことによる経済効果は、きっと相当額に上るに違いない。)
 
 株価はうわさや風評でも大きく変動するものだということは周知のとおりで、人々が抱く信用やブランドイメージで株価は変わり、企業の時価総額もそれによって変わる。
 株式だけじゃなくお金そのものもやはり信用によってその価値が成立しているのは同じだ(いつか学校で習った事を、やっと実感できるようになりました)。1万円札は、世間のみんなが“これくらい”と認める(噂される)信用で交換(購入)できる物量や労働量が決まり、日本が国を挙げてその信用維持に努めているという「インクの染み付いた紙切れ」にすぎない。
 
信用の価値は〜livedoor〜(3)へつづく 
 

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