人生という日常の合間に見つけた平凡な感動や、過ぎ去る時間のぼんやり思惑。 人生紀行

 
No.1 コーヒー:香しき ひとりの時間(1) 2003. 8. 10

 コーヒー好きになりだしたのはまだ数年前のことだが、もう今では手放すことのできない大好きなものの一つになってしまった。数年の間に幾つかの経験を経てこれほど好きになったのだが、それら経験の始まりはコーヒーゼリーに端を発している。
 シロップとミルクをたっぷりかけて食べるコーヒーゼリーが美味しくて「これを腹いっぱい食えたらな〜。」などと思うことがあった。バケツいっぱいにコーヒーゼリーを作って、おおきなスプーンでバクバクと食べる想像をしていたら、しばらくしてその思いを遂げなければならないような気がしてそれを実行に移そうと思い立ったのだ。
 コーヒーゼリーの作り方を勤務していた学校の図書室で調べると結構簡単そうだ。
 材料は、インスタントコーヒーとゼラチンとお湯だけ(コーヒーリキュールを入れると更に良いらしい)。材料を買いにスーパーへ行くと、そこでふと欲が出た。
  「どうせ作るなら美味しいものにしたい。」と思い、ゼリーに使うインスタントコーヒーの代わりにレギュラーコーヒー(挽いた豆からお湯で抽出するコーヒー)を用いてやってみようと思ったのだ。
 コーヒー豆を売っている一角へ行くと様々な銘柄のコーヒーが並んでいるのだが、それまでコーヒーをほとんど飲んでいなかった私にはどれが最も美味しいコーヒーなのか見当もつかない。それでも、聞き覚えのある名前を見つけれられた。ブルーマウンテン、モカ、キリマンジャロである。
 さて、どれを買うべきか?ブルーマウンテンは値段が高いので、おそらく美味しいのだろうと考えたが、本当に高い!一緒に買い物にきた友人を待たせてさんざん悩んだ挙句に、3つのうちの真ん中の値段だったモカをひとまず選んだ。お店で豆を挽いてもらいながら、あたりに広がるコーヒー豆の香りにすっかり期待を膨らまして、「きっと今までに食べたコーヒーゼリーよりも美味しいものが出来上がるに違いない!ブルーマウンテン豆にはかなわないが‥。」と確信を抱いて家に帰り、早速コーヒーゼリーの制作にとりかかった。
 仕事を終えてからの買い出しとゼリーの作り出しだったので、夜は深けていたし疲れてもいたが、初めてのコーヒーゼリー作りはそんな状態も苦にならないほどのワクワクで、作業は順調に進んだ。
 
コーヒー(2)へつづく
 

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