【練炭づくり】
 土楼の点在する永定〜龍岩の山間部をバスやバイクで移動中に、黒煤にまみれた簡易な屋根だけのような奇妙な建物が幾つか目に付いた。石炭を積んだトラックにもよくすれ違う。さらに注意して流れる景色を見ていると道路脇の岩肌には真っ黒く輝いている地層が剥(む)き出しになっている所も‥。
 ここら辺では石炭が豊富に取れるようだ。しかも、地表に剥き出しになるくらい極浅いところにも存在して、小規模な露天掘りが多くの場所で盛んに行われている。質を問わないなら、道を作る際にできた崖の地層から剥き出している石炭を拾ってこれば、ただ同然だろう。(粗悪なものだと思うけど)
 

 そんな燃料事情にあやかり、承啓楼では練炭作りを時々見ることができた。
 細かく砕いた石炭の粉末に土と水を加えてよく練る。できた硬めの黒い泥を、鉄製の練炭成型器具に詰めてとり外し、下に貼り付かないように籾殻(もみがら)を薄く撒いた上に置いて天日で乾かせば自家製練炭の完成だ。
 作業は簡単なもので、1〜2人で次々と幾つもの練炭が成型される。住民当番なのか、各自の作業かは分からないが、晴れた土楼前の空き地で行われる日常仕事。(中国の田舎では良くある光景のようです。練炭は普通に現役!)
練炭作り
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