【赤いスカーフ】

  赤いスカーフ  
 中国の就学児童が首に巻く赤いスカーフは“紅領巾(ホンリンジン)”と言う。“田舎では学級委員や学業優秀・品行方正な者に与えられる証”、“都会ではほぼ全員が身に付けるトレードマークのようなもの”‥と触れたが、日本の小学生が通学時にかぶる黄色い帽子や中学などの学生帽のようなシロモノとは全く異なり、中国共産党思想への忠誠をリアルに表す印でもあります。
 (※ちなみに 日本の小学生の黄色い帽子は交通安全の為。中学生男子の学生帽は昔の軍隊衣装から由来しているが思想的意味を持ってかぶる人はいないですね。)
 
 そういう赤いスカーフの思想的な意味が込められたと仮定してこの姉弟の絵を見ると、中国共産党を援護・推進するかのような表現になってますが、そういう意味は微塵も有りません。中国共産党なんて全く擁護しませんし、その利益に組するのはお断りです。
 
 パフォーマンスでもプロバガンダでもなく、ありきたりの優しさ、普遍的な家族・姉弟の姿です。
 私は中国の普通の人々や暮らし、文化や自然というものにはとてもいいイメージや豊かなものを感じていますが、中国政府の行いや中国共産党の思想と権力には強い憤りを感じています。
 
 ここ近年、中国に関する多くの内容をインターネット等を通じて目にする機会が増えてきました。
 2007年、一番最近では人工衛星のミサイル破壊です。中国の衛星を中国自身がミサイル破壊したのですが、軍事的脅威の他に多数のデブリ(宇宙ゴミ)を発生させている現実問題です。
 それから、中国内の売血政策によってエイズ患者が激増した農村が取材報道されました。
 昨年秋に世界中を駆け巡った「中国軍がチベットの巡礼者を無差別に撃ち殺す映像」は遠方からの淡々とした映像ながら衝撃的‥というか、理解しにくい状況が展開されています。
 
 中国新華社通信によれば「不法越境する巡礼者が抵抗したから撃ち殺した」という報道です。映像は近い場所にいた民間外国人登山者が撮影しています。その登山者らは「巡礼者は無防備だった」と言っています。
 ※中国の新華社通信は国家直属の通信社で、共産党体制を維持する姿勢の報道≒中国政府の公式見解を伝える報道機関。
 ◆その映像(ニュース)はYouTubeで閲覧可能です。ユーザー登録とログインが必要になります。以前ここで自由に閲覧できるようにしておきましたが、ショッキングな映像を含むことと著作権への配慮のため自主的に控えることとしました。YouTubeへの登録&ログイン⇒目的のニュース閲覧はこちらから。
 
 またチベット東トルキスタンへの侵略と蹂躙など、中国の行いがこれまでに(そして現在も)どんなものかを知る手がかりは日本など世界においてもインターネットで容易に見ることができます。しかし、中国国内ではそうではないようです。
 世界の報道を監視する世界的組織、国境無き記者団が発表した「2005年度の報道自由度」のランキングによれば中国は167ヶ国中159位(最下位167位は北朝鮮、日本は37位)。この格付で毎年かなりの下位である中国は相当の情報統制と言論弾圧をしている国の一つであり、中国共産党によって厳しく守られている国家体制そのものの姿を表しているでしょう。過激な言い方をすれば、現在の北朝鮮政権と似た本質なのです。
 中国国民(人民)は上記のような自国の蛮行についてほとんどのことを知らず(または国家により歪曲して伝えられる)、その情報を得る術もありません。インターネットは国家により検閲され、中国共産党体制にとって危険とされる情報にはアクセスできなくなっています。もし中国においてそのような情報を発信し国家批判を流し続ければ身柄を拘束される危険を持っているのです。
 情報統制と弾圧の中、幼い頃から植えつけられた共産党崇拝思想によって盲目的に国家を信じることしかできず、中国国家を批判的に見る思考や発想すら思いつかないのが、今の多くの中国国民の現実のようです。(※日本とて37位。目を覚ますべき事項は多い。)
 
 そういう社会の中国ですから、赤いスカーフは子どもにもその親にとっても、身に付けることがステータスであり一つのプレッシャー(教育効果を上げる規律)にもなっています。
 北京では来年2008年にオリンピックが、上海では2010年に万博が開催されます。少しずつ中国が国際化と情報化の波に晒されるている今日、もしかしたら近い将来に大きな変革を経て、共産思想云々関係なく‥日本の子ども達の黄色い帽子や学生帽のように、中国で子ども達が赤いスカーフを身に着ける時が到来するのかもしれませんね。(一番平和な変革)
 中国政府の政策により虐げられている多くの人々・民族のことを思えば、そのような日が一日でも早く訪れることを私は望みます。
 
※中国を知る参考サイト http://dadao.kt.fc2.com http://jp.epochtimes.com
 現中国政府を簡単に“悪”と決め付けるのは私にとってはまだ少し短絡的なようです。もっと情報を得ねばならないと痛感しています。割と精査された内容の書籍を読むことを今後の課題にしておきますが、一応現在の中国の在り様を多くの個人サイトからも知ることができます。
 “日中記者交換協定”等によって中国に関して踏み込んだ報道に及び腰な日本の一般マスコミ・メディアからは本当の中国は見えてきません。まずは身近にあるインターネットなどから一人一人が能動的に知ることが簡単で重要なことだと思います。
 今まさに多くの深刻な問題を孕む中国にとって、広大な国土と莫大な人口を抱えた国家体制の維持こそが常に課せられる最大の命題でしょう。それが故の情報統制と共産党思想統制であるのは明白です。地球上の多くの国家が、自国の治安と体制を維持するが為に様々な管理と教育を施しているのは事実ですし、その体制に染まることでその国に暮らす個人の生命と権利が保障されると言えますが、世界的に見れば中国のそれは報道自由度のランキング通りに突出したものだと私は思います。(もしくは国家とは元々そういうもので、情報に関してオープンな国というのが特殊なのかもしれません。)
 
 様々な立場の人の情報・意見を広く見比べてボンヤリとでも、隣の大国である中国の本当の姿をイメージできるといいと思います。またそれが自国を知る一つの手がかりにもなるでしょう。
 

旅人彩図 『赤いスカーフ?』 戻る