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No.92 憧れのSWING GIRLS(2) |
2006.10.24
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安いものでサックスは7万円〜。トランペットは4万円位からあった。値段は‥今の自分にはやっぱり高い。
ショーケースに並んだ金ピカなその楽器を、自分が手にしてるのを妄想してウットリしてみるけど‥現実を考えると本体を買う値段だけでなく、練習、場所、仲間、etc‥。購入後にかかるお金や、かかる時間を現実的に想像して、にわかに膨らんだ夢はしぼんでしまった。“純粋な趣味”に時間やお金を使う前に、今の私には他にすべき事がある。
‥もう少し別の言い方をすると、それだけのお金を払って本気で練習して演奏したいという程の思いがなかったということだ。 |
当然初めからそれは判っていたし、財布にだってそんな現金入れてここへも来ていない。ただ少し見てみようと思っただけで‥、店員に詳しい話を聞くことも、仕様が書かれたカタログを手にすることもしなかった。
ガラス越しに輝くサックスを憧れるように眺めて、まるで寂しい少年みたくアンニュイ&片想い。本気で買おうとも思ってないのになぜだか、手の届かない存在に対して自分の不甲斐なさを感じて少し切なくなる。若干のため息混じりに店を後にして歩き出しながら、感情は時に行き過ぎて「今の俺がそんなもの欲しがるのが悪い。」と自分を責めた。
〔あ痛テテ‥も〜これだから、俺は楽しむのがヘタクソなんだよ。ハァ〜ア‥。〕
ショッピングセンターの通路には若い女の子達や仲の良さそうなカップルが沢山いて買い物を楽しんでいる。通路ですれ違う活き活きとした彼らの表情を見ていたら、今暗い表情をしていた自分に気付いて、慌てて自分を戒めるように今度は一人で笑顔を作って歩いた。
誰にでも輝ける瞬間はある。今ここには私のその瞬間は無いけれど、別の機会にはSWING GIRLSの女子高生みたくノリノリの笑顔で夢中になって周りを嫉妬させてやるから、お前ら覚悟しとけ!‥と内心でこっそり強がってみる。
〔とりあえず明日はこの前刃がこぼれてしまった鑿(ノミ)と小刀を研ぐぞ!一緒に研ぐ仲間はいないけど、エイエイオーだ!〕
↑落ち込んだりすると刃研ぎをするのが常。(駄目だ〜)
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