人生という日常の合間に見つけた平凡な感動や、過ぎ去る時間のぼんやり思惑。 人生紀行

 
待ち合わせ
No.86 涙のライブコンサート(3) 2006. 7.11

 I氏と駅近くで合流して、コンサート会場に向かう。
 道すがら最近のパフィーの歌についての話や、その他にI氏が以前に行ったコンサートの話などをしながら、これから臨む人生初のコンサートを想像して私の気分も盛り上がってきた。
 〔俺、これからパフィーのコンサートへ行くんですよ〜。〕と、隣に行き交う街の人に自慢したくなるような、ある種の優越感すら滲み出してくる。
 そう、なんと言ってもあのPUFFYだ。今や全米で彼女らをキャラクターにしたアニメが大人気らしい。パフィーのアニメ番組が全米アニメ番組視聴率のトップを獲得し、実写の彼女らもその歌(英語アリ日本語アリ)もアメリカの子ども達にウケているのだと言う。
 それにしてもアメリカ人の子供心を掴むものを彼女達が持っていたとは意外に思ったが、よくよく考えてみたら彼女らは「恋だ、愛だ、お別れだ」という歌は唄ってないし、二人の特徴ある個性(キャラクター)はいじり易いものがあるから、アニメとしてそれらをデフォルメ(誇張)すれば子供受けは良さそうだ。しかも、それを日本ではなく海外に持って行ったところが最大のポイントだろうか。
 
 パフィーは台湾・香港でもコンサートしてるし、日本では二人が仕切るテレビ番組もかなりの人気があった。更にアメリカでのブレイクというわけだから〔もしかしたら今日のコンサートはマイケルジャクソン級に大変な事になるのか?〕‥とか思ってみたが、たどり着いた会場はそれほど大きくもない建物で、入り口なども混雑しているわけではなく、特に厳戒態勢でもなかった。
 やや拍子抜けに思ったのは本当だけど、現在の日本でのパフィーの位置づけはそんなところかもしれないし、これくらいのホールなら当然だろう。熱狂的な若いファン層で占められるKAT-TUN(カトゥーン)の東京ドームコンサートとはわけが違う。
 
 さて、I氏の後に続いて、勝手の分からない会場へ不安げに足を踏み入れていくと、椅子のない全面黒張りのホールにはたくさんの人(1000人位?)が始まりを待っていた。
 〔へぇ‥、こんな風になってるのか‥〕物珍しそうに周囲を見回すと男女比は同じかやや女性が多い。年齢層は30歳前後パフィーの二人と同年齢に近い人が多いようで、私が浮いた存在ではないことに安堵する。中には家族(父母30代後半・娘二人10歳前後)で来ているところもあるようで、それを見て〔あんな家族もいいし、それが可能なパフィーもいいな。〕と思った。
 
 ステージ前の人が密集してる所と、ホール後方の人がまばらな中間あたりにわれわれ二人は待機することにする。
 会場の人々はザワザワとそれぞれの雑談に花を咲かせながらも、開演の時間(パフィーの登場)を今か今かと興奮を高めながら待っているみたいで、ホール全体が抑制したような高揚感という独特の雰囲気に包まれている。もうここは日々の現実とは空気が違うわけで、ライブコンサートはこの時点から始まっているようだ。
 
涙のライブコンサート(4)へつづく 
 

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