人生という日常の合間に見つけた平凡な感動や、過ぎ去る時間のぼんやり思惑。 人生紀行

 
お雛様
No.76 緋毛氈と伊賀まんじゅう(1) 2006. 3.13

 3月3日は桃の節句、ひな祭り。女の子の日とか言ってたりする。つまり女の子の祭りだ。略して女祭り(‥こう言うとニュアンスがかなり違ってくるナ)。
 うちには姉妹がいなかったので、ひな祭りには全く縁がないままに30年以上が過ぎた。当然雛人形への興味も関心もほとんど無いままの30年だ。別段その事に気後れすることもなかったし気にもしていなかったが、“ある仕事の依頼”でどうも多くの女性(女の子)にとって“お雛様”がわりと大きな関心事であることが最近になってわかった。
 「毛氈(もうせん)」を知ってるだろうか?コレ、案外女の子は知ってます。
 女の子の間では一般常識みたいで、女の子相手に「毛氈」と言えば「ああ毛氈ね。」みたいに通じるわけです。「緋毛氈(ひもうせん)」なんてのもあって、男ながらに「緋毛氈」という言葉をさらりと会話に出せたならば、それだけでかなりの通として女性からも一目置かれる程です(ウソ)。まぁしかし、日本の大人としては毛氈という言葉ぐらい知っていた方がいいと思います。
 
 
【毛氈 (もうせん)】 羊やラクダなどの獣毛に湿気・熱・圧力・摩擦などを加えて繊維を密着させてできる布。フェルト生地の敷物。緋色(濃い赤・深紅)の毛氈を緋毛氈 (ひもうせん)と言う。
 
 そう!あれだ、アレ!お茶会のときに下に敷いてある赤い布。和風な茶店の屋外ベンチとかにも敷いてある。そ・れ・か・ら〜、雛祭りのひな壇!上から下まで段を覆ってるアノ真っ赤な布の敷物が何を隠そう“緋毛氈”なのだ。私が初めてその「毛氈」とやらを知るきっかけとなったのは“ある仕事の依頼”‥「木製ひな壇の制作」だった。
 少しばかり私が木工制作に覚えがある事を以前から知っていてくれた友人から「娘のひな壇を作って欲しい」と話を持ちかけられたのだ。「1月末に愛知に一時帰省するから、そのときに詳しく話そうか。」というメールをくれた友達は現在一男一女、二児の母だ。
 雛人形だけは実家のものがあり、壊れて失われた“ひな壇部分”を新たに木で作って欲しいというのが依頼の概要だ。他の要望やサイズ・価格などは帰省後の打ち合わせを待つとして、最近のひな壇はどの様な物が市販されているのかまずは調べてみた。
 新聞の折込チラシやインターネット販売のページにザッと目を通す。
 〔主流は木目調か‥、それにしても(値段が)高いなー!赤い布を敷いたものは少し安いが、なんか古臭い感じだな。赤布タイプ?‥何て言うんだろう?〕
 ひな祭りを身近にすることがないまま育ってきた私には多くのことが新鮮だが分からないことも多い。例の赤い布が“緋毛氈”、男女の内裏雛(だいりびな)が座っている台は“親王台(しんのうだい)”という類の言葉は調べてみて(初めて)分かったけれど、雛祭りの風習って今でもそんなに盛んなものなのだろうか?
 
緋毛氈と伊賀まんじゅう(2)へつづく 
 

旅人彩図 『人生紀行』 前へ 目次 次へ