人生という日常の合間に見つけた平凡な感動や、過ぎ去る時間のぼんやり思惑。 人生紀行

 
アイスコーヒー
No.60 見えない所に価値は宿る(1) 2005. 7.23

 コーヒー豆を買うお店は大体決まっている。
 私がよく豆から挽いてコーヒーを飲むことは、以前にも紹介した通りだ。(人生紀行No.1〜
 
 
 コーヒーといえばインスタントが全盛の現代において、コーヒー豆が一体どんなものなのか理解しにくいかもしれないので少し説明すると、あの黒い豆は火であぶり焼きした後の豆で【焙煎】、それを粉々に砕き【豆を挽く】、その粉に湯や水を通すと苦味成分が溶け出して【抽出】、湯に混ざった粉を取り除くと【濾過】、あの苦いコーヒーになります。簡単にいえばコーヒーとはそんなものです。
 木に実っている時は果肉に覆われており、緑〜赤へと熟していきます。その果肉の中に2つ向かい合わせるように入っている半球型の種が「コーヒー豆」です。(焙煎前の生豆は白っぽい薄緑色)
 ちなみにコーヒー豆を使わずとも「火で焦がした何かをお湯に浸け、湯に苦味を移す」ということで似た味の飲み物がつくれます。パン・大豆・麦・タンポポ根‥etc、代用コーヒーといいます。あのコーヒーの苦味は「豆を焦がした(焙煎した)味」で、そういう加工を経てあの黒褐色のコーヒー豆になっているわけです。
 
 
 さて、そのコーヒー豆、色々な種類・銘柄・ブレンド・焙煎方法などがあるのは有名で、どの種類の豆をどれくらい焙煎した味が云々‥ということは未だあまり詳しくないのだが、近所のどこのお店の豆が美味しいかはちょっと詳しくなった。
 
 「美味しいコーヒー豆を売る店では、コーヒー豆のいい香りが漂っていない。」
 
 これは私がしばらくの間に獲得した自論だ。
 逆を言えば「コーヒー豆の匂いがプンプンと漂う店は、その味を疑ってよい。」ということになる。
 この論にたどり着くまでは、あたりに漂うコーヒー豆のいい香りに釣られて豆を買うのが常であった。あの香りが見えぬ広告であるし、実際それに私も惑わされ続けていたわけだが、実はそこに落とし穴があったのだ。
 
見えない所に価値は宿る(2)へつづく 
 

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