人生という日常の合間に見つけた平凡な感動や、過ぎ去る時間のぼんやり思惑。 人生紀行

 
ねこ
No.59 些細なるエロス 2005. 7. 1

 「パンツ見えてますよー。」とは言えませんでした。
 自転車で買い物に出たときのこと。5メートル位前を自転車で走る若い女の子が、曲げた腰の所で背中と一緒にパンツ(下着)がはみ出していることにフト気づいた。
 私も自転車に乗って同じ方へ向かう以上、前を走る彼女のパンツはどうやっても視界の中だ。ここは私が道を変えるか追い越せばいいのだが、はっきり言ってそれも億劫だ。迷わず目的の場所(お店)に到達したいし、今のペースを上げて走るのも疲れる。
 かと言って屋外の5メートル以上先の人に聞こえる声で「パンツ見えてますよー。」なんて忠告できるわけがないし、相手が見知らぬ女性なら簡単には声をかけづらい。しかし、それでいいのか?
 〔あーもー、黙ってパンツに目を釘付けにしながら、葛藤して悩んでる俺はバカだ〜、変態だ〜。〕
 ‥とか勝手に思っていると、彼女と進行方向が異なり目の前からパンツは消えた。訪れる平穏。
 〔ホッ。いや、残念?‥違うだろ!〕
 
 もしかしたら彼女は腰を曲げた時にパンツが背中にチラリとはみ出してしまうことは解かっていたことかもしれない。
 薄くて白いブラウスやTシャツからブラが透けて見えることは充分解かってるハズですよね‥。女性のみなさんどうなんですか?
 もう少し“ハイ?”なこともあります。
 
 「あの‥、胸当たってますよー。」とは言えませんでした。
 歯医者で歯石を取ってもらっていると、顔に置いた布を通して若い歯科助手の女の子の胸が、こめかみ〜ひたいの辺りに当たるんです。口を空けて内部を治療中なので頭は動かせませんし、「胸当たってますよー。」と進言することも微妙すぎる。進言したところで歯石除去はお願いしたい。しかし、それでいいのか?
 2・3回歯石除去が続きましたが、大きな胸の子はしっかりと、小さな胸の子はそっと触れる程度に暖かくて柔らかな感触が‥。どういうわけかみんな若い女の子で、結構カワイイのです。
 〔あーもー、これは歯医者側のサービスだろうか?少しでも痛みを和らげる為の特別サービスなのかー??〕
 ‥とか勝手に思っていると、今回で歯石除去はおしまいだそうです。訪れる落胆。
 〔え゛ー、もう歯石なくなったんですか、残念。‥違うだろ!〕
 
 もしかしたら彼女たちは患者に胸が当たっていたことは解かっていたかもしれない。
 いや、解かっていなかったらおかしい。とは言えサービスではないと思うけど‥。歯科助手のみなさんそこんとこどうなんですか?
 
 きっと彼女らにとっては些細な事で、無関心である顕れなんですから、意識しすぎている私がナンセンスなのでしょうが‥。男性ホルモン漬けの頭(オトコという生き物)には些細なエロスに無関心ではいられないのです。
 そんな些細な事の連続が私の毎日です。
 
 
 

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