人生という日常の合間に見つけた平凡な感動や、過ぎ去る時間のぼんやり思惑。 人生紀行

 
パソコンに向かう作者
No.44 茨城へは夜を越えて(1) 2004.11.27

 連絡というものはいつも突然だ。鳴り出した電話機の液晶画面には見慣れぬ市外局番‥〔また変な勧誘か?それとも架空請求?いや、オレオレ詐欺がとうとう俺の所に来たか!〕
 見知らぬ番号にはこれ位勘ぐってしまう悲しい最近の事情を憂い、不審を抱きながら電話に出た。
 「もしもし蜂須賀さんですか?」
 「‥はい。」
 「このたび御応募いただきました、いばらきデジタルコンテンツ・ソフトウェア大賞にて蜂須賀さんの旅人彩図が企画部長賞を入賞いたしました。」
 「えっ?!」
 〔‥なんだそれ?あー、あの「海外の高額宝くじが当たりました。」とか言って「その当選金額の振り込みの海外口座開設の為にお金が必要」とかで先にお金を振り込ませる例の詐欺か?古い手だなー。‥いや、ちょっと待て。「いばらきデジタル‥ナンタラ‥」って記憶にあるぞ、‥そうだ。そういえば先月応募した!それにこの人茨城っぽいなまりがある‥。‥、‥、な、な、な、なんとーっ!本物か?!〕(←この間約1.2秒)
 「えーーーつ!!」 詳しく担当の方から話を聞くとどうやら本当だ。
 「いばらきデジタルコンテンツ・ソフトウェア大賞」は茨城県高度情報化推進協議会が主催するデジタルコンテンツやソフトウェアの公募コンテストだ。ホームページ、マルチメディア・CG、ソフトウェアの各部門があり、私はこの旅人彩図をホームページ部門に出品していた。
 「茨城デジコン大賞(略)」はインターネット上の情報サイトで制限無く応募していたが、茨城に所縁もなく個人的な内容の旅人彩図の出品は少しためらいがあった。そんな「くだらないためらい」を解きほぐすのに応募締切ギリギリまで待ってから応募し、その後はすっかり忘れていたのだ。
 今回、旅人彩図が頂いた企画部長賞はHP部門で最上位の作品に冠される賞であった。本題の水彩画に関する受賞ではないが、苦労して制作したHPを認められて、これほど嬉しいことも今の私にはそうそう無い。
 嬉しい知らせに心躍りながらも一つの懸案事項があった。「2004茨城デジコン大賞」の授賞式が10月23日(土)に開催されるので式典へ出席してほしいと言うのだ。会場が遠く離れていることも難儀ではあるが、交通費の支給がない事が一番の問題だった。電話口では「愛知県からですと遠いので、考えさせてください。後日メールで返答します。」と言っておいたが〔交通費無いのに、そんなの無理。〕が本音だった。
 愛知県岡崎市から茨城県水戸市までの交通費を安いもので調べてみれば、電車往復で15,300円(片道7.5時間)、格安バス乗り継ぎ往復で12,360円(片道11.5時間)、車では高速道路19,300円+ガソリン代(片道5.5時間)、という感じでどうやっても費用も時間もバカにならない程にかかってしまう。これではせっかくもらえる数万円の賞金を出血割引するようなものだ。主催側の授賞式に出てほしい気持ちはよくわかるが、茨城から遠い者にとっての不公平感は拭えない。
 
茨城へは夜を越えて(2)へつづく
 

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