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No.30 桜咲く 華は儚く |
2004.
4.13 |
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友達が私を訪ねて来るというので「桜を見て酒でも飲もう」ということになり近辺の花見の名所に出かけた。既に陽は暮れていたので夜桜見物だ。今年の桜は満開の時を越えて今まさに散り始めていた。あたり一帯の樹に吊るされた裸電球は暖かな橙色光を投げかけて、淡い桃色の桜を濃紺色の闇夜に浮かびあがらせる。その灯りに照らされた桜は穏やかな天気に小さな花びらがハラハラと舞落ちて、濃緑の草叢(くさむら)、黄土の地面、漆黒の川面を薄っすらと桜色に染めている。
正に春爛漫という風情で、うっとりするような雰囲気に浸りながら「今年、こうして桜を見ることができてよかったなぁ‥。」と思うのだ。
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