人生という日常の合間に見つけた平凡な感動や、過ぎ去る時間のぼんやり思惑。 人生紀行

 
No.26 2月29日の偶然(1) 2004. 3. 6

 市内の画材屋さんへ紙を購入するため足を運んだ。私が高校生の時から利用していて、最も馴染みのある画材屋だ(でもこれまでの総購入量は少ないし、頻繁に行くわけじゃないから馴染みを感じているのは私の方だけだろう)。
 水彩用紙を買おうと思い店の方に尋ねてみたが、希望するサイズの紙は在庫がなくて買うことができなかった。
 
 残念に思いながら店の戸を開けて出る。帰ろうと足を進めながら〔この店に常備してある紙の種類をメモに控えておけば、次回からの役に立つな‥〕とふと思い立止まり、もう一度店内に引き返した。すると、そこに彼がいた。
 「あれぇ?!久しぶり〜!」そう彼だ。えーと、そうなんだ、そう‥彼。高校で同じ部活だった後輩の‥。うーん‥と、名前は‥。あー、うー、やっぱりわからない!
  10年以上ぶりの再会で、もちろん(お互い)歳をとった面持ちになっていたが、その面影は変わらない。互いに一目見てすぐにわかりあえたが、互いに名前は出てこない(情けない)。ふたりで考え込んでみたが、結局思い出せずに13年ぶり”高校部活の新入生歓迎の日”以来の二度目の自己紹介で名前を教えあう。
 彼の名はO(オー)。同じ高校の美術部で一つ下の後輩だ。高校卒業後、Oは芸術大学の美術学部に進学したことはずっと以前に噂で聞いていたが、それ以外のことは何も知らなかったし卒業後は接点も無くなってしまったので、この10年以上は意識することもないままに時が過ぎての今日の再会だった。
 
2月29日の偶然(2)へつづく
 

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