人生という日常の合間に見つけた平凡な感動や、過ぎ去る時間のぼんやり思惑。 人生紀行

 
No.18 私をどぶろく祭りに連れてって(8) 2003.12. 12

 数日の間に2つのどぶろく祭りに参加し、共に貴重な体験ができた。規模が小さく地元の方との交流があった岡崎のどぶろく祭りは心に染みる静かな感動がある。一人だけで出向き、じっくりと祭りに参加したことも大きいだろう。
 お酒が主役だけあってどぶろく祭りには子供も20歳以下の人もほとんどいないし、祭りに来ている人は40代以上の年配者がほとんど(なぜか青年の姿もかなり少ない)。まさに大人の祭りである。どぶろく祭りでなくとも全ての昔ながらに日本に伝わる「祭り」というものは、やはり大人による大人のためのものなんだな〜と改めて思う。また一つ私も大人の楽しみを知ってしまいました。
 でも考えてみれば「どぶろく祭り」という祭りは「祭り」と「酒」という関係にとってはごく自然なものに見えたが、見物しているだけでは何も面白くないという祭りで、「見どころ」の少ない変わった祭りとも言える。
 アルコールに酔ってはじめて見えてくるミラクルワールドで、見ず知らずの人とも気持ちを分かち合えた気にさせてしまうそんな不思議な空間だ。
 本当は引っ込み思案で人見知りもある自分が酒を好きな訳は、そんなアルコールの力を借りることで楽しく人とコミュニケーションを図りたいという私の本心の現われなのかもしれない‥。そう思うと、これまで随分酒には助けられた(失敗も多々あるケド)。案外、どぶろく祭りをその昔に発起した人物もかなりの引っ込み思案だったのかも‥と思いを馳せると他人事のような気がせず、思わず笑みがこぼれるのでした。これからもいい酒を美味しく飲めるようにと改めて願うのです。
 
 そして、更なるどぶろく祭りへ!私の暮らす愛知県には大府・豊橋市などに伝わるどぶろく祭りがあり、さらに近辺の県でも多くのどぶろく祭りがあるのです。さあ、次なるのどぶろく祭りが私を呼んでいる!‥酒人生の旅はまだまだこれからも続くのでした。
 
私をどぶろく祭りに連れてって おしまい
 

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