人生という日常の合間に見つけた平凡な感動や、過ぎ去る時間のぼんやり思惑。 人生紀行

 
No.12 私をどぶろく祭りに連れてって(2) 2003.10. 27

 15日、どぶろく祭りの開催される岡崎市 蔵欠(くらなみ)町 熊野神社へ自転車で向かうこととなったのだが、現地の祭りの詳細は分かっていない。どぶろくはいつどのように振舞われるのか?それに、ここ我が家から蔵欠町までは自転車ではどれくらい時間がかかるのか?神社へ辿り着いたときにはすでに祭りは終了し、どぶろくを一滴も飲めなかったら‥。そんな一抹の不安を憶えながらも、結局目を覚ましたのが昼過ぎであったので出発は14:30となった。

 さあ!まだ見ぬ岡崎のどぶろく祭りへいざ出発。気持ちよい秋晴れの下、私は勢いよく自転車を走らせた。風は心地よく、陽射しも穏やかで文句無しのサイクリング日和に気持ちも自然と弾む。
 我が家から蔵欠町までの自転車での推定所要時間は片道1.5〜2時間だ‥と思う。地図で見ると蔵欠周辺は山地なので、登り下りの勾配で速度の影響をもろに受ける自転車での所要時間推測は難しい。
 割と平坦な市街地を30分も走ると徐々に丘の登り道が迫ってきた。それから10分後、私は自転車を降りて歩いていた。あまりに続く急勾配の登り道にペダルが回せなくなったのだ。ふうふうと息が切れて頭も少しくらくらするのは、高所のせいではなく日頃の運動不足によるもであった(寝起きすぐも原因か?)。少し歩いて勾配が緩くなると自転車にまたがって漕いで、すぐにまたペダルが重くなって歩く‥、そして行けども行けども登り道。出発から1時間、自転車で来たことを後悔していた。
 〔どぶろく飲めなくても、車で来るべきだったな〜。いや、車で来て、どぶろく飲んで、車内で一夜明かして、朝に帰る、それがベストだったか‥。〕などと考えながらも既にここまで自転車で来ているからにはもう引き返している時間はない。とにかく淡々と前に進むだけだ。
 周辺は立派な日本の田舎の景色で、自分のくらす市内にこれほどに開発にさらされていない土地があったのだな〜、と大きな発見。山間の小さな田園や小川、生い茂る草木に目を楽しませながらもへとへとになって走り続けること暫く、‥どうやら道を間違えたようである。
 
私をどぶろく祭りに連れてって(3)へつづく
 

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